脳の性質〜ソフト面
脳には 脳幹、小脳、中脳、大脳があり…といったものは脳のハード面の情報です。いわば物理世界の話ですが、コーチングでは脳のソフト面の性質を利用してゴール達成していきます。
また、この世界は私達が知覚・認識している世界であるという理解も重要です。
以下にコーチングを理解するためのいくつかの脳の性質を紹介します。
意識よりも無意識の方が広大
ここで言う意識の定義は、気がついている部分です。無意識は気づいてない部分です。
よく潜在意識を活用しようと言われますが、この潜在意識も無意識に含まれます。
最初は習得するのに難しかった自転車の運転、スポーツ、楽器の演奏なども、いつの間にか無意識にこなせていたりしませんか?
また、心臓の鼓動、体温調節、食物の消化なども無意識が行っていますよね?
ある問題が、特に考えている意識がなくても、急に解決方法が見出せたといった経験もありませんか?
いずれも、無意識が働いてくれているおかげで成り立っています。
意識よりも、無意識の方が広大である理由がこれでお分かりいただけるのではないでしょうか?
LASによって知覚バランスが変わる
脳の知覚は常に100%で全てのものに働いているわけではありません。
大勢人がいる場所でも話をしている相手の話に注目して雑音を小さくするカクテルパーティー効果というものが知られています。
また、自転車に興味を持てば今までほとんど認識していなかった街の自転車にも注目がいくようになります。
引っ越しを考えはじめると、街中で普段は気にもしなかった物件が目に飛び込んでくるようになります。
このように、注目が変われば街の景色も変わってきます。
つまり、人の脳には普段から注目しているところが大きくなり、注目していないところは相対的に小さくなるといったボリューム調整機能が備わっているのです。
この機能のことをLAS(網様不活系:Lateral Activity System)といいます。
また、LASによってできる心理的盲点のことをスコトーマといいます。
人は一度に一つのゲシュタルトしか構築できない
ゲシュタルト心理学では人間の知覚や認識が部分的な要素の単なる集まりではなく、それらが一つのまとまりとして認識されると考えます。
そして、そのひとまとまりの認識をゲシュタルトといいます。
このゲシュタルトは一度に1つしか構築できないと言われています。
例えば「ルビンの壺」のように壺を認識した時にはその背景の向かい合う人の顔が消え、逆に向かい合う人の顔を認識すると壺が消えてしまいます。
このようなことから私達の脳は「一度に一つのゲシュタルトしか構築できない」といわれています。
人はコンフォートゾーンにいたがる
人が心地よいと感じるゾーンのことをコンフォートゾーンといいます。
エアコンの温度調節のように人はコンフォートゾーンから外れると、自然と元のゾーンに戻る性質があります。
成績、年収、健康状態、人間関係なども同様にコンフォートゾーンを維持したがります。
ここで「無意識」の登場です。
意識的に、もっと良い状態を求めていても、無意識が今までいた状態をコンフォートゾーンと認識していると、なかなかそこから逃れられません。
一度上がった成績がすぐに元に戻ってしまう、なかなか病気が治らない、体重変動できない、何故かダメな相手とばかり付き合ってしまう、一時的に収入を得てもすぐに元の収入に戻ってしまうetc…
実は意識的には一刻も抜け出したいと思っている嫌な状態でも無意識が現状をコンフォートゾーンにしてしまっていることは往々にあるのです。
せっかく病気を治しても別の怪我などしてしまう人など次から次へと困難ばかりが襲いかかってきている人がいないでしょうか?
こういう人は無意識のコンフォートゾーンが「困難な状態」になっていることが疑われます。
現状世界W1からゴール側のW2へ
コーチングではこの現状のコンフォートゾーンをゴール側にずらします。
ここで、ゲシュタルト心理学を思い出してください。
人は同時に一つのゲシュタルトしか構築できないため、現状W1(ワールド1)の外にゴールを設定し、コンフォートゾーンをゴール側にずらすことができればあとはスムーズに新たなパラレルワールドのひとつW2(ワールド2)でのゲシュタルト構築が始まります。
細かく見ると次のような仕組みです。
まず、現状W1が意識的のみならず、無意識から心地悪くなります。
そして、LASの働きにより今までスコトーマによって見えていなかったW2に向かう方法が次々と認識に上がるようになります。
無意識から心地よいと感じるゴール側の世界W2のコンフォートゾーンに行動も体も移行していきます。
このため、意識のみに着目し熱心に行動するよりも無意識のコンフォートゾーン移行を行なった方がゴールに向かいやすいということです。
現実R=イメージI×臨場感V
「思考は現実化する」というナポレオン・ヒルの言葉がありますが、 ただ空想しているだけでは実現できない事は、皆様も経験済みでしょう。
この「思考」=「イメージ」を現実化するには本章タイトルにあるように臨場感の高さが重要なのです。
そのために必要なのはゴール達成のための自己評価である「エフィカシー」を上げることです。
そのためにすでに叶っている状態を言葉にして唱えるアファメーションや非言語によるビジュアライゼーションというセルフコーチングの手法があるほか、コーチによるセッションを受ける方法があります。